地域の情報通信を支える設備工事へ
データセンターから、身近な通信設備まで

設備屋コラム

 前回のコラムでは、パソコンのM.2 SSDに付いた小さなヒートシンクから、 AI時代のデータセンターで使われる液冷・液浸冷却まで、 コンピュータの熱をどう処理するかという話を書きました。

 考えているうちに、もう一つ気になったことがあります。

 これから、情報通信を支える設備は、地方でどのように増えていくのだろうか。

 通信は、今や一部の大企業や都市部だけのものではありません。 工場、事務所、店舗、病院、介護施設、公共施設、そして一般家庭まで、 光回線、携帯電話、無線LAN、防犯カメラ、遠隔監視などが、 日々の仕事や暮らしを支えています。

 通信機器は、置いて電源を入れれば終わりではありません。 安定した電源、機器の熱を逃がす空調や換気、配線を守る配管、 漏水や停電への備えまで含めて、 「止まらずに動き続ける環境」を整える必要があります。

前回の記事「パソコンは、なぜここまで冷やすようになったのか」を読む →

通信は、見えないけれど地域の基盤です

 通信が普通に使えているときには、私たちはあまり意識しません。

 しかし、通信が止まればどうでしょうか。 レジの決済ができない。事務所のデータが見られない。 防犯カメラの映像が確認できない。遠隔で見ていた設備の状態が分からない。 連絡手段そのものが限られてしまう場合もあります。

 地方では、少子高齢化や人手不足への対応としても、 通信の役割はこれから大きくなっていくと思います。

 離れた場所の設備を監視すること。映像で現場を確認すること。 必要なときに専門家とつながること。災害時に地域へ情報を伝えること。

 これらはすべて、安定した情報通信の基盤があって初めて成り立ちます。 水道、電気、道路と同じように、 通信も地域を支える大切なインフラの一つになってきています。

身近な場所にも、通信設備は増えています

 「通信設備」と聞くと、大きな通信鉄塔やデータセンターを思い浮かべるかもしれません。 しかし実際には、身近な建物の中にも多くの設備があります。

 光回線やLANの配線
 情報コンセントや通信ラック
 無線LANのアクセスポイント
 防犯カメラと録画機器
 遠隔監視用のセンサーや制御機器

 こうした設備には通信線だけでなく、100V・200Vの電源、 通信機器を収めるボックスやラック、屋外の防水対策、 機器の熱対策、配線を保護する配管などが必要になります。

 通信の設定そのものは専門の会社が担う場面も多いでしょう。 しかし、その機器が安全に設置され、長く使えるようにするための 電気・空調・配管・防水・換気は、まさに設備工事の仕事とつながっています。

データセンターは、コンピュータだけの建物ではありません

 AIやクラウドを支えるデータセンターでは、たくさんのサーバーが休みなく計算をしています。 そのため、設備として見ると非常に多くのものが必要になります。

 受変電設備
 非常用発電機・UPS(無停電電源装置)
 空調・換気設備
 冷却水配管・ポンプ・熱交換器
 温湿度・流量・漏水の監視設備

 AI用の機器は、特に大きな熱を出します。 これからは空気で冷やすだけでなく、冷却液を使って熱を運ぶ方式も、 より重要になっていくと考えられます。

 もちろん、大規模なデータセンターの中心設備をすぐに施工できるわけではありません。 しかし、地域の小規模な通信拠点や企業のサーバー室でも、 温度、電源、停電、漏水をきちんと考える必要があることは同じです。

地方の設備屋にも、できることがあります

 情報通信の世界は、専門的で遠い分野に見えるかもしれません。 しかし地域の現場を考えると、設備屋にできる仕事は少なくありません。

 通信機器のための電源をつくる。
 熱を逃がす空調や換気を整える。
 配線を保護し、屋外では雨や結露から守る。
 漏水や停電の異常を早く見つけられるようにする。
 そして、異常が起きたときに現場へ行ける体制をつくる。

 通信機器は、巨大な施設だけに置かれているわけではありません。 地域の工場、施設の管理室、事務所、店舗など、さまざまな場所にあります。

 そうした設備を確実に整備し、維持していくことは、 地方の設備工事業にとって、これから大切な役割になっていくのではないでしょうか。

かつて携わった、地域の光回線整備

 私自身、以前に地域の光回線整備工事へ携わった経験があります。

 一般住宅を一軒ずつ回り、屋外の通信回線収納ボックス、 屋内の光ファイバ配線、ONUや端末の設置を行いました。 必要に応じて、機器用の100Vコンセントを新設することもありました。

 屋内用の光ファイバを、専用のステップルで固定する。 条件によっては、できるだけ目立たないように隠蔽で配線する。 通信のための工事でありながら、建物の状態を見て、 電気工事も含めて対応する必要がありました。

 当時は、地域の全世帯へ光回線を届けるための大きな工事でした。 あれから年月がたち、今では光回線があることは当たり前になりました。

 しかしこれからは、その回線の上で、防犯、遠隔監視、AI、映像、 さまざまな地域サービスがさらに動いていくのだと思います。

学びながら、この分野へ

 現時点で、当社は電気通信工事を専門にしている会社ではありません。

 だからこそ、分からないことを曖昧にせず、 まずは2級電気通信工事施工管理技士補を目標に、 基礎から学び直していこうと考えています。

 そして、LAN配線、防犯カメラ、通信機器室の電源や空調、 監視設備など、現在の電気・空調・給排水の経験を生かせる民間工事から、 少しずつ実務経験を積んでいきたいと思います。

 通信だけでなく、
 通信設備が止まらないための環境まで分かる設備会社へ。

 すぐに大きなことができるとは思っていません。 それでも数年先を見据えて学び、経験を重ねることは、 これからの地域に必要とされる設備工事業につながるはずです。

これからも、地域の変化を見ながら

 設備工事の仕事は、水道、電気、空調だけではありません。 暮らしや仕事の形が変われば、必要とされる設備も変わっていきます。

 情報通信の分野は、これから地域でも重要性を増していくと考えています。

 有限会社イシバシ設備は、これまで培ってきた設備工事の経験を大切にしながら、 新しい技術にも目を向け、地域の皆さまのお役に立てる範囲を 少しずつ広げてまいります。